第2章 繁殖に向けた親魚の育て方

第1章ではエンゼルフィッシュの繁殖を行なう前の心構えとも言える繁殖を行なう上での責任について掲載いたしましたので、この第2章からは繁殖に向けた飼育の方法を掲載します。

品種によって異なる繁殖難易度

エンゼルについては野生種、アルタムエンゼル、ドゥメリリィエンゼルを除いてはシクリッドの中ではフラッグ・シクリッドやペルヴィカクロミス・プルケールなどと並んで最も繁殖が容易な魚の1つです。熱帯魚全体の繁殖難易度から考えても最も容易なグッピーやプラティなど卵胎生メダカよりもやや難しいと言った所でしょうか。

エンゼルと一口に言っても改良品種が多く存在し、当サイトのコンテンツ、改良品種カタログに品種の紹介をしていますが非常に多くの種類がある中で飼育と共に繁殖についてもやや難しい品種も存在する為、最初に繁殖を経験するのに最適な種類は並エンゼル、ゴールデンエンゼル、マーブルエンゼルなどの品種がよいでしょう。

また基本的に種の異なるアルタム・エンゼルとドゥメリリィ・エンゼルを除けばすべての改良品種は1種類のスカラレ種をベースに品種改良されている為、同じ品種同士の方がペアは作りやすいですが、色の違った品種同士でもペアを作り繁殖させることが可能です。

逆にお勧めできない種類はブラック系統のエンゼルとアルビノ系統のエンゼルで特にアルビノ系統の個体は稚魚の視力が極端に弱く自然繁殖では育たない無いこともある為、初めて繁殖をさせる場合は避けたほうが良い品種と言えます。

繁殖に向けて親魚育成の方法

繁殖を行なう際の飼育については基本的に一般的に飼育と大きな違いはありません。 特にエンゼルのような繁殖が容易な魚はちゃんとした飼育さえ適切にできれば自ずと産卵まで進みます。 60cm標準水槽ではエンゼルが成長すると狭くなりますので5尾ほど飼育する場合は水草などはあまり密集させずにアマゾンソードなどでゆったりとした水槽のレイアウトが良いでしょう。

基本的な親魚を育てる工程としては60cm標準水槽(60×30×36cm)の水槽で5尾~7尾ほど、飼育に自身が無い、もしくはやや難易度の高い品種を挑戦する場合はワイド型の60cm(60×45×45cm)で10尾ほど飼育して親魚を育てるほうが成功する確率は高くなります。

基本的には雄・雌が1尾でペアを作る事が出来ますが、幼魚の状態ではプロでも雌雄の判別は出来ない為、複数飼育が基本です。ただ同じ水槽の中でプロポーションの良い個体ばかりを集めたりすると結果としてオスばかりになる事もある為、バランスよく飼育して最終的に5,6尾の親魚を育てる事を目標にすると良いでしょう。

販売されているエンゼルの多くはSサイズで生後2ヶ月~3ヶ月前後、Mサイズで生後4ヶ月ほどの個体が多く、エンゼルは水温やエサの量によって成熟の速度は異なりますが、多くの改良品種で概ね10ヶ月~12ヶ月で繁殖可能な状態になるため、幼魚の飼育を初めて半年少々の飼育で若い親魚を育てる事が出来ます。

繁殖方法とその責任 コンテンツ一覧

第1章 繁殖を行なう前に…命を扱う責任
第2章 繁殖に向けた親魚の育て方
第3章 ペアの形成とその判別
第4章 繁殖水槽のセット方法
第5章 産卵~稚魚の育て方


↓参考になりましたら、各種ソーシャルサイトでご紹介して頂けると光栄です。
エンゼルフィッシュ.jp > エンゼルフィッシュの繁殖と責任 > 第2章 繁殖に向けた親魚の育て方