第4章 繁殖水槽のセット方法

第3章では親魚の育成~ペアの形成と判別について書きましたのでこの第4章ではペアが出来た後、いよいよ繁殖水槽のセットアップとなります。 著者は商業的にエンゼルの繁殖を行なっている為、基本的にエンゼルを人工孵化しておりますが、子育てするエンゼルの姿は繁殖の醍醐味と言えるものですので自然繁殖に近い形で繁殖される為の水槽レイアウトをご紹介して行きます。

繁殖水槽のセット その1 水槽の選び方

まず最初にエンゼルフィッシュを繁殖をさせる為の水槽について、これは熱帯魚の飼育で最も一般的に使用される標準60cm水槽 (60×30×36cm) が最適です。 人工孵化を行なう場合などでは45cmほど水槽でも可能ですが、水槽が狭いと稚魚が育つスペースも無く、水質の悪化も早い、またペアの中が悪くなった際に片方が虐められ最悪の場合は斃死する場合も考えられるのであまりお勧めする事はしません。

繁殖水槽のセット その2 フィルターの選び方

繁殖用の水槽を用意したら今度はフィルターの選び方ですが、繁殖は飼育とは違う部分が多く、飼育マニュアル 第4章 で紹介したフィルターがそのままお勧めできるわけではありません。 特に最も一般的な上部式フィルターはポンプの力が強く、生まれた稚魚を吸い込むと共に強い水流で稚魚が弱るといった弊害も起きる場合がある為、繁殖に適したフィルターとは言えません。

では、どのようなフィルターを用意する必要があるのかと言えば繁殖に使用するフィルターの条件は2点、1つは稚魚を吸い込まない事、もう1つは強い水流を発生させない事となります。この2つを併せ持ったフィルターは底面フィルターとスポンジフィルターでどちらも繁殖にはよく利用されます。当サイトでは底面フィルターをメインとした水槽のセット方法を推奨させて頂きます。

繁殖水槽のセット その3 敷き砂の選び方

繁殖はフィルターと保温機器以外は何も入れないベアタンクでも繁殖できますが、これでは味気ない水槽なので敷き砂を入れる事はバクテリアの繁殖量を増加させ水質の安定にも寄与するので底面フィルターを使用しない場合でも底面が隠れる程度に入れると良いでしょう。

底面フィルターを使用する場合は最低でも5cmほどの厚さで砂を敷く事となりますが、敷き砂についてはpHや硬度を上げない製品であれば特にこだわる必要はありません。敷き砂を入れる場合のお勧めとしては、特に初心者の方はなかなか繁殖に適した水質に調整する事が難しい為、水質の調整作用があるソイルが良く、オオツカ熱帯魚で繁殖を相談されるお客様にもお勧めしています。

単純にソイルと言っても非常に多くの種類があり、中には強力にpHの値を下げpH6.0~6.5前後の弱酸性がベストなのに対してpH5.0近くまで下げる製品もあるので注意しなくてはなりません。水道水の水質と製品の仕様によってソイルが作り出す水質は微妙に変わるのが普通です。製品によってはターゲットとなるpHを定めている製品もありますので、弱酸性になる製品を用意するのが理想的です。

繁殖水槽のセット その4 水槽のレイアウト

水槽のセットが終わったら最後は繁殖水槽のレイアウトです。エンゼルフィッシュは基本的にアマゾンソードのような平たく幅と長さのある水草や流木、フィルターのパイプなどに産卵する事が多く、ディスカスと産卵形式が近いため、産卵筒と呼ばれる産卵用の筒を使うのが一般的です。

基本的にはレイアウトは水槽の中央に産卵筒を配置するだけでも問題はありませんが、エンゼルが自分で好きな産卵場所を選べるように、また生まれた稚魚たちを世話するのに適したようにする為にはE.スクルエッテリやアヌビアス・ナナのような葉の平たい水草も水槽のコーナー辺りに幾つか植えておくと子育てがしやすくなるようです。

また、水槽の設置場所は人通りが激しい場所や玄関など、ドアが頻繁に開いたり閉じたりするような場所はそれらが子育てで神経質になっているペアにとっては大きなストレスになりかねません。水槽内の環境だけではなく、水槽周囲の環境についてもなるべく静かでストレスにならないように心掛けるのも大切なポイントです。

繁殖方法とその責任 コンテンツ一覧

第1章 繁殖を行なう前に…命を扱う責任
第2章 繁殖に向けた親魚の育て方
第3章 ペアの形成とその判別
第4章 繁殖水槽のセット方法
第5章 産卵~稚魚の育て方



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