第13章 エンゼル水槽のレイアウトについて

エンゼルフィッシュを飼育する際にエンゼルフィッシュだけの単体では無く、水草や流木などを入れて色々な熱帯魚と一緒に飼育したいと希望される方が多いと思われます。第7章・第8章にてエンゼルフィッシュと他の魚との相性について記載していますが、このページでは水槽を彩るレイアウトについて説明をします。

水槽のレイアウトは個々の好みで自由に行い楽しむべきですが、水質を変化させる性質を持つ素材などはエンゼルフィッシュの飼育に良い効果をもたらすものもあれば、悪影響を与えてしまうものまで様々です。基本をしっかりと抑えてお好みの水槽を仕上げられるようにしておきましょう。

水槽のレイアウトを行う際の注意点

熱帯魚ブームのおかげで水草や流木以外に現在は水槽に入れるために、様々なレイアウト用の製品が発売されています。水草に関しても非常に多くの種類が販売されており、誰でも育てられる簡単な種類から色々な条件が揃わないとうまく育たないような難しい水草も存在します。

このサイトはエンゼルフィッシュを飼育する事を前提としていますので、「水草メインの水槽」ではなく、エンゼルフィッシュをメインに考えた水槽のレイアウトについて良し悪しを検証してみましょう。

水槽に利用する砂について

単に水槽に敷く砂は天然のものから人工的に作られたものまで非常に多くの種類が存在ます。 その中には色合いが飼育者の好みであったとしても、エンゼルの飼育に適さないような砂も存在します。「ベアタンク」と呼ばれる水槽にフィルターとヒーターのみで飼育される場合もありますが、ここでは一般的に利用される砂の良し悪しについて説明していきしょう。

最もポピュラーな砂 大磯砂(フィリピン砂)

大磯砂は最も古くから熱帯魚の飼育に使用されている砂です。昔は神奈川県の大磯で採取された為、今では採取が禁止されていますが、この名で呼ばれることの多い砂です。現在は主にフィリピンなどの海外より輸入されるようになっています。

海で採集される砂の為、最初は貝殻などを多く含んおり、pHと硬度を上昇させる傾向があります。価格は砂の中でも最も安価な種類の一つで、色合いも自然な色で昔から根強い人気のある砂の種類と言えるでしょう。やや高価になりますが、含まれている貝殻などを酸で処理した水質への影響の少ない製品も売られています。

販売されているサイズも様々な種類があり、エンゼルフィッシュに使用する場合は「7里」~「1分」と呼ばれているサイズが適しています。通常に売られている状態では砂が汚れている為、お米を磨ぐ要領で洗ってから使用します。

主に海水魚に使用される砂 サンゴ砂

これは文字通りですが、サンゴが砕けて砂状になったものです。この砂は見た目が白くきれいな砂ですが、カルシウムが主成分で作られている為、水質をアルカリ性に変化させてエンゼルフィッシュの飼育には適さない性質があります。

全く利用できない訳でも無く、慣れさせれば問題なく飼育できる場合もありますが、エンゼルフィッシュの事を考えれば利用しないほうが賢明です。このpH値をアルカリ性にする性質を利用して、大磯砂などにごく少量を混ぜる事で中・大型魚などのpHの下がりやすい環境ではpHの低下を抑制する事も可能です。

色々な用途を想定して製作された 人工砂

現在は熱帯魚ブームの影響により、非常に色々な砂が発売されています。一般的には大磯砂のような黒っぽい砂を使用しますが水質に影響の少ないように設計された白、赤、緑、茶色など様々な色の砂や水草を植える為に適した砂など非常に多くの種類が存在しています。エンゼルフィッシュの飼育に関してはこのような人工砂を利用する事に関しては特に問題はありません、pH値をアルカリ性にしないような砂であれば問題なく使用できます。

半永久的な使用を目的としたセラミック系サンド

人工砂には大きく分けて2つのタイプに分ける事ができます。1つは高温で焼き固めらて半永久的な利用を目的として作られたセラミックタイプ、もう一つは土の持つ特性を残しながらも水槽で使いやすい粒状に加工する事を目的とし、水草の育成に最適なソイルがあります。

セラミックサンドは色合いも多く、人工的に着色した赤や青など色々な色があるので好みがあればその様な砂を使うのもひとつの方法です。但し注意が必要なのは水質に影響が無いと謳われている製品であっても、実際に使ってみると大きく硬度を上昇させるなど・・・予想外の展開になる可能性も孕んでいます。使う場合はセット後に必ず水質測定を行い、異常な数値が出ないことを確認しましょう。

水質の調整が容易に行えるソイル類

次にソイルについてですが、砂と呼ぶよりも「土」と呼ぶべき製品です。多くの敷き砂とは異なり、土の持つイオン交換などの水質の調整機能を維持しているのが特徴です。 特に水槽のpHを下げる効果が高い製品もあり、あまり極端にpHを下げる製品はエンゼルの飼育には向かないと言えるでしょう。

このソイルは非常に多くのメーカーから多種多様な種類が発売されています。主に弱酸性の軟水を作る事がとても容易なため、初心者でも水質を気にする事なく熱帯魚などを飼えるようになった点は大きく評価できるものです。その反面、ソイルには寿命が存在するため、定期的に交換する手間が必要であるのも事実です。

エンゼルフィッシュにも発生しやすいエロモナス感染症の発症が少ない事でも知られ、南米産シクリッドの飼育にもとても良い商品と言えるでしょう。すべてが理想的な製品はありえない為、砂を使うにしてもソイルを使うにしても、そのメリットとデメリットをよく理解する事が大切です。

水槽に利用する流木について

流木は水槽内に自然を再現する為に非常に良い物です。単に流木と呼ばれるものでも、非常に多くの種類が存在します。最も多く安価で出回っているのはマレーシア産のマングローブ素材の流木とされています。近年のネイチャーアクアリウムの浸透により、枝流木と呼ばれるより自然なレイアウトの可能な形などの多くの商品が存在しており、天然素材の為、同じものは無く自分で気に入ったものを探すのも楽しみと言えるでしょう。

これら流木はエンゼルフィッシュの飼育に利用する場合は特に注意する事はありませんが、あまり角の尖った流木だとエンゼルが傷つく場合があり、そのようなタイプはなるべく使用しない方が賢明です。また、あまり複雑に流木をレイアウトするとごく稀ではありますが、エンゼルが流木の隙間に挟まって死んでしまう場合もありますから注意がしておく事も心掛けましょう。

エンゼルフィッシュに限らず、水槽に流木を使用する際には「アク抜き」と言う作業が必要になります。これは流木の中に存在する魚に有害な物質を取り除く作業です。やり方は流木をお鍋に入れて沸騰させて1時間ほど煮るとお湯が茶色くなりますから、お湯を捨てて水で冷やせば完成です。

流木を利用すると、最初のうちは水槽の水が黄ばむ(茶色)場合がありますが、エンゼルの飼育自体には問題は無いので長く使うと次第に水に色が付かなくなります。また、アクアメーカーから発売されている「黄ばみ防止剤」を使用するのも効果的で、またソイルのような吸着性を持つ敷き砂を使うと流木から発生する水の黄ばみは綺麗になくなる製品も多いので、目的に応じて使い分けるのが理想と言えます。

流木のアクとブラックウオーター

流木のアクについては色々な意見があり、一概に「これがアク」という事は難しいものがあります。例えば、流木が採取される前に木の中に取り込んだ有害な物質や樹液のような物を「アク」と呼んだり、あるいは流木から発生する「茶色い水」をアクと呼ぶような場合もあります。前者のように有害な物質の場合はしっかりと除去する必要がありますが、水が黄ばむだけの「茶色い水」は鑑賞上はあまり良くはありませんが、エンゼルに悪い影響を与える事はありません。

テレビなどでアマゾン川の特集を見るとわかりますが、エンゼルフィッシュの原産地であるアマゾン川には大量の草や木が生えており、水中に沈んだ流木や枯葉などから水に色がついていない場所のほうが少ないはずです。ブラックウオーターと呼ばれる水はこのような流木や枯葉などが水中に沈み、茶色い酸性の軟水を作り上げた物でそのような環境に生息している魚は逆に普通の環境では飼育が難しい場合が多く見受けられます。

エンゼルと水草の相性

エンゼルフィッシュは中型のシクリッドでは珍しく、水草と非常に相性の良い熱帯魚です。ある程度、複雑に密集した水草水槽でもその平たい体で難なく過ごす事も出来ますし、砂を掘るような事も無く水草を食べるような事もありません。水草水槽の写真にもエンゼルフィッシュが多く登場している事からも、その相性の良さと見栄えには理解して頂けると思います。特に相性の悪い水草はありませんので、自由なレイアウトが楽しめる熱帯魚と言えるでしょう。

特にエンゼルフィッシュに良く似合う水草としては、やはり同じアマゾン河を原産地とするエキルドルスの仲間でしょうか。最も販売されている水草と呼んでも過言ではないのがアマゾンソード・プラントです。このアマゾンソード・プラントはエンゼルの水槽に良く似合い、またその平たい大きな葉はエンゼルの産卵場所にもなるエンゼルとの相性抜群な水草です。

エキルドルスにこだわる必要はありませんが、よほど植物質が不足していない限りはエンゼルが水草を食べる事は無いので自由なレイアウトを楽しむ事が出来るでしょう。中型の熱帯魚としてはこれほど水草との相性が良い魚は珍しいので、ぜひ自分のデザインした水草水槽でエンゼルフィッシュの飼育を楽しまれることをお勧めします。

その他のレイアウト用の製品について

昔は水槽をレイアウトする際には流木と水草が定番でしたが、現在は色々なレイアウト用の製品も発売されています。古くからある「土管」や「テトラポッド」をかたどった物や、金魚によく利用されるエアーで動く水車のような物以外に非常に精巧に作られた熱帯魚用のレイアウト製品も多く存在します。

主に流木などをかたどった物が多いようですが、流木のような手間は不要で色々なアイディアによって作られた物も多く存在します。エンゼルフィッシュに利用する際には特別に注意が必要なものはほとんどありませんから、自分好みに自由な製品を選ばれると良いでしょう。

人工の水草について

正直な所、水草は家庭菜園やガーデニング感覚で水槽にただ水草を植えた場合、大抵は数週間~数ヶ月で枯れてしまいます。その多くは魚の餌に該当する「光」と「肥料」の不足や呼吸に必要な「二酸化炭素」が不足したりする場合が大半を占め、水草育成に必要最低限な条件が揃わないためです。

特に初心者の場合は草を枯らしてしまう場合が多いので、丈夫な水草を利用する以外に人工の水草を使用するのも一つの方法ではないでしょうか。昔はいかにも「ニセモノ」と言った粗悪な物が大半でしたが、現在は非常に精巧に作られた物が多く、遠目で見れば人工水草だとわからない物もあるほどです。本物の水草と違って枯れる事はありませんので長い間を楽しむ事が出来ます。

飼育マニュアル コンテンツ一覧

第1章 エンゼルフィッシュってどんな魚?
第2章 失敗しないエンゼルフィッシュの購入ポイント
第3章 エンゼルの飼育に最適な水槽サイズと飼育可能なサイズや数
第4章 エンゼルの飼育に最適な濾過装置とは?
第5章 エンゼルにとって最適な餌はどんな餌?
第6章 飼育可能な範囲と最適な水質・水温
第7章 エンゼルと相性の悪い魚達
第8章 エンゼルと相性の良い魚達
第9章 品種によって異なる飼育の難易度
第10章 エンゼルの寿命と繁殖可能な年齢
第11章 輸入エンゼルとエンゼル病
第12章 病気とその対処方法
第13章 エンゼル水槽のレイアウト



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