第6章 飼育可能な範囲と最適な水質・水温

このページではエンゼルフィッシュは基本的となる飼育の水温と水質に加えて飼育できる範囲について解説をする事にします。 生き物の飼育には絶対にこうしなくてはならない範囲はあまり無いのですが、目安は必要になりますので参考として掲載します。

エンゼルフィッシュの素晴らしい適応能力

エンゼルフィッシュは非常に水温・水質に適応性の高い魚です。下記のデータは著者が実際に最低でも数ヶ月間は問題無く飼育可能な事を確認した水温・水質の適応範囲です。エンゼルフィッシュの種類によっては適応能力も低い品種が存在しますから目安として考えて下さい。

  • 理想的な水温:25度~28度 飼育可能な範囲の水温:22度~32度
  • 理想的なpH:6.0~7.0 飼育可能な範囲のpH:4.0~8.5
  • 理想的なGH:1dH~6dH 飼育可能な範囲のGH:0dH~12dH以上
  • 理想的な導電率:200μs以下 飼育可能な範囲の導電率:1200μs以上

このように水温、水質共に徐々に慣れさせれば非常に広い水質で飼育可能な事が理解できると思います。 さすがに水温が22度程度の場合は成長速度が遅くなりますが、pH値やGH値(総硬度)に関しては慣れてしまえば、日本の水道水ならほぼ問題無く飼育可能です。

次に野生のエンゼルフィッシュが住んでいるアマゾン川の水質について調べてみると水温が26度前後で水質はpH6.5程度の弱酸性、硬度も3~5dH程度の軟水だと事がわかります。これは一般的なデータの為、採取された地域によっては相当なバラツキがあり、一つの目安に過ぎません。また、水温はともかく、水質に関しては常に変化している物なので、狙った値に留めておく事は非常に困難だと言えます。

エンゼルフィッシュの基本的な飼育水温

上記で表したように非常に広範囲な水温で飼育できますが、適性値となるとある程度範囲は狭くなります。それでも水温25度から28度前後、水質は弱酸性の軟水~中性程度が理想ですが、慣れれば弱アルカリ性の中硬水まで幅広く対応できます。

またエンゼルの改良品種によっても水質への適応能力は差異が認められ、特にブラック系統・レース系統のエンゼルはやや水質にうるさく少し飼育の難易度が高くなる品種のグループです。 これらは弱アルカリ性の水質では体調を崩しやすい傾向もあるので、なるべく弱酸性~中性の飼育を心がけると良いでしょう。

水温と新陳代謝の関係について

熱帯魚に限らず魚は全て「変温動物」の仲間です。簡単に説明しますと、人は暑くても寒くても体温はほぼ一定ですが、爬虫類や両生類、そして魚類もまた自分では体温の調節をする機能が無く、暮す環境によって自分の体温も変化します。

その為、水温が低い場合は新陳代謝が遅くあまりエネルギーを利用しないのに対し、水温が高いと新陳代謝が活発となり、多くのエネルギーを消費するようになります。

これは寿命の長さにも影響を与え、低い水温で飼育された魚は高い水温で飼育された魚よりも長生きしますが、これは新陳代謝の速度の差によるものが大きく影響していると言えるでしょう。エンゼルフィッシュの寿命は大体5年から7年程度だと言われていますが、低水温で大切に飼育すると10年以上生きる場合も見られるようです。

最適な水温と水質は?

著者が長年に渡ってエンゼルフィッシュを飼育・繁殖させている経験から申しますと、やはり野生のエンゼルフィッシュが生息しているような環境に近いとされている、水温は26度~28度、pH6.0~7.5前後の弱酸性~中性付近の軟水で飼育するのが、最も状態が良いように思えます。

これはエンゼルフィッシュの繁殖された環境にもよるので一概には言えませんが、国産のエンゼルは基本的に中性から弱酸性の飼育される場合が多く、外国産のエンゼルは現地でアルカリ性の水で飼育・繁殖される場合が多い為、飼育するエンゼルによっても一概に何が良いとは言えないはずです。

熱帯魚を飼育する上で重要な水換えのサイクル

バクテリアが正常に機能している水槽では魚の排泄物は アンモニア → 亜硝酸 → 硝酸塩 として魚に無害な形に分解されて行きますが、自然界と違い硝酸塩は草木に吸収されない為※、結果として水槽内に蓄積して水槽のpH値を低下させる原因になります。

下記のグラフの━ 線ように水換えを行わないとpH値が生存限界ラインを下回ってしまい、死んでしまう場合もありますからpH値が下がり過ぎないように━ 線 を描くように水換えによって極端なpHの低下を防ぐ事が水質を維持するポイントになります。

表はわかりやすいようにpH7.5 ~ 6.0の間を水換えで維持してますが、神経質な熱帯魚の場合は図のようにpH値を一気に1.5も上げるとpHショックで状態を崩したり、死んでしまう事がありますからpH値が目的の値から下がり過ぎないうちにこまめな水換えによって維持した方が賢明でしょう。 ※水草を多く植えることで水換えを少なくすることは可能ですが、全く水換えを行わない飼育は現実的ではありません。

あくまでこれは飼育の基本的なスタイルですので、すべての方が同じ様にしている訳ではありません。特に飼育経験の長いマニアやプロのブリーダーでは独自のスタイルを構築していることもあります。それを初心者がそのまま真似てもうまく行かない事もあるのが、生き物の飼育の難しさと言えます。

ですが、毎日の観察と規則正しい水換えのリズムが良い魚を育てる上では必要不可欠なことは、適切な飼育を進める為にしっかりと覚えて実行して頂ければ幸いです。

飼育マニュアル コンテンツ一覧

第1章 エンゼルフィッシュってどんな魚?
第2章 失敗しないエンゼルフィッシュの購入ポイント
第3章 エンゼルの飼育に最適な水槽サイズと飼育可能なサイズや数
第4章 エンゼルの飼育に最適な濾過装置とは?
第5章 エンゼルにとって最適な餌はどんな餌?
第6章 飼育可能な範囲と最適な水質・水温
第7章 エンゼルと相性の悪い魚達
第8章 エンゼルと相性の良い魚達
第9章 品種によって異なる飼育の難易度
第10章 エンゼルの寿命と繁殖可能な年齢
第11章 輸入エンゼルとエンゼル病
第12章 病気とその対処方法
第13章 エンゼル水槽のレイアウト



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